第79話『チャンスを活かす会社と逃す会社』



「初めて見るお客様が来店しました。どのようなことで次の来店につなげますか?」

「え~・・・・、まずは・・・・声をかけます。」

「それからどうしますか?」

「え~・・・・・・・・」

店舗型サービス業において、業種によりいろんなシチュエーションがありますが、目の前にいる一人のお客様に対して、来店から退店までにどのような接点とアクションを起こすかが、リピートして頂くための重要な鍵になります。


「暑い日に初めて見る方が来店したら、どのように声をかけますか?」

「普段は軽くご挨拶して、おしぼりを渡したり、汗をかいているので店内が寒かったら言ってくださいと声をかけたりします」

「おっ!素晴らしいですね。ちなみに、他のスタッフの方も同じようにやっているのですか?」

「いや~そこまでは指導できていません。」


自分たちの営業活動は、お客様にどのような体験と価値を生んでいるか?

逆に、どのような体験と価値を感じてもらうために、どんな行動をするのか?

集客の手法がそのままリピートの動機になるものもありますが、チャンスを活かす会社というのは、集客というキッカケを活用して、リピートの動機づくりを沢山行います。

チャンスを逃す会社は、せっかく新規で来店しているお客様がいても何のアクションも起こさずに、みすみすリピートへの道筋を逃します。


リピートの動機づくりというのは、お客様が「またこのお店に来よう!」と思って頂くための施策で、この取組みによってリピートの確率が上がることは、同時に業績向上につながる取組みになります。

上手くいくことばかり探して、効率ばかり追求していてもお客様へのアクションは増えません。

チャンスを活かす会社は、他社がそのようなことを探している隙に、淡々とリピートの確率を高める活動を全員で実施し続けます。


時間が経過する中で、そのような活動をする会社のスタッフは価値を生む累積経験値が高まります。

リピートの確率を高める累積経験値が高い人材が増えれば増えるほど、業績向上への活動は精度を増していきます。

誰がやっても同じというシステムにより人件費を削減してきた企業と、誰もがやれないことをやるために人材の累積経験値を高めてきた企業ではすでに出発点が異なります。

差別化価値を生み出す人材と、生み出せない人材の差が生まれます。


このことは、店舗型サービス業に限らず起っていることです。

ある電気工事関係の経営者にお話を伺ったところ、他社が4人のところを自社は3人で実施する。

当初は元請けから人数を合わせてくれと言われたりしたが、仕事に対する姿勢と考え方、それを実現する能力によりこなして来たら、自社の格が上がってきた。

誇りを持って、他がやれないことをやるという気持ちがこちらの会社は浸透していると感じました。

その気持ちで仕事に向かえば、それを実現するための行動になり累積経験値や技術も能力もどんどん高まります。

これが差別化価値になっていき、ある段階に来れば無くてはならない存在になります。

自分たちが提供する価値は、「他社がやりたがらないこと、やれないことをやる!」と話されてました。

仕事を発注する側は、これをこなしてくれれば『頼もしい』という価値を感じます。

現場というチャンスは他の会社も同様にあったにもかかわらず、活かす会社と今まで通りでチャンスを逃す会社という分かれ道です。


仕事を通じて、仕事のやりがいや喜びを感じる仕組みを持つ会社は強くなります。

それは、働く人が仕事の目的をハッキリと理解しているのと、仕事を通じて自分の力を高めている実感があるからです。

これを形にしていく方法を知っている会社と知らない会社。

普通の人が仕事にやりがいを感じて自然と能力を発揮する会社と、そうでない会社。

どちらが業績向上という難しい課題をクリアしていく可能性が高いかはご想像どうりです。