第77話『業績向上に欠かせないコト』



「う~ん、今まで欠けていたものが明確になりました!」

そう話されたのは、あるサービス業の経営者の方です。

業績向上を図るために明確にしていくポイントはいくつもあります。

ただし、中核になる“欠かせないコト”というのは一つしかありません。

その一つを中心に、他のポイントが存在します。

もちろん、他のポイントが欠けていても業績向上を目指すことができなくなるので、それぞれをチェックしていく必要があります。


「どうしてこんな基本的なことが見えなくなるのでしょうか?」

「買い手のときには自然と感じているコトが、売り手になると『売る』ということが目的になりがちで、本来の目的が売るための手段になっているからだと思います。」


事業のそもそもの目的は、お客様に価値を提供することです。

“業績向上に欠かせないコト”というのは、『どんな価値を提供するのか』というもので、これを中核に据えてそれ以外の業務を築く必要があります。

価値という中核があって、これをどんな商品やサービスで、どこの地域の人に、どのお客様に、どのように届けるか。

そして、それを実現するために働く人がどのような活動をするのかというものです。


基本的な“価値を提供する”というものが見えなくなるのは、既に存在する商品やサービスを扱うケースが多いので、機能を加えたり・サービスを加えたり・価格を変えたり・・・・という周辺の変化で商品やサービスが売れたりしたからです。

成熟期までは基本的な価値を考えなくても売れる期間が長かったので、働く人も基本的な価値提供を忘れていきます。


ただし、提供する価値というのは変化していきます。

価値が変化するというのは、お客様が潜在的に望む価値が変化するというもので、車であれば求められる価値が大きく変化したのが分かります。

1つの商品やサービスで提供する価値は複数あります。

車は『移動・快適さ・見た目・用途・燃費(エコ)・サポート・ブランド・・・などなど』、複雑に絡み合っています。

どこのウェイトが高くなるか、どこの価値を伝えるかは時代によります。


価値を明確にするからこそ、その価値を提供するための商品やサービスの構想が生まれます。

本来は価値を提供することが業績向上に欠かせないものなのに、提供する価値が明確になっていなければ闇雲に取組むだけです。


このようなことから起こる問題は、働く人が・・・「こんなことで好ましい成果が上げられるか?」という疑心暗鬼になってしまうことです。

そこから「やらなきゃ分からない!」

などという、正論のように聞こえる言葉を使ってはっぱをかけますが、「やらなきゃ分からない」という真理を突いた言葉の使い方が間違っています。

提供したい価値が明確になっていて、それを提供するための施策の時はやらなければ、どんな成果が生まれるかは分かりません。

何を提供したいか明確になっていないのに、「やらなきゃ分からない」というのは、自らの怠慢を働く人の主体性の責任にしている他者責任の姿勢です。


経営者の仕事は、

1.企業の方向づけ

2.資源の最適配分

3.人を動かす

経営幹部はこれをサポートして形にし、落し込むことが求められます。

もちろん経営者の仕事の3つは、経営幹部も一緒に考えるものです。(決断は社長です)

「売上向上!」というのは、どんな価値でそれを目指していくのかが中核に無ければ、掛け声だけで終わってしまいます。

『戦略の失敗は戦術では補えず、戦術の失敗は戦闘では補い難し』

業績を上げない社員の意識を問う前に、業績向上に欠かせない価値が明確になっているかを問う必要があります。