第72話『“机上の戦略”と“生きた戦略”』



「〇〇〇〇戦略とか、何でも『戦略』とついているから、なんだか胡散臭いし、戦略というものがよくわからないのですが・・・・・」

「ごもっともです。私もセミナーなどで戦略ってついていると胡散臭くないですか?と質問したりするのですが、8割以上の方が同じように感じているようです。」

「戦略を分かり易く言えば、『目標を達成するために、どのようなシナリオを描くか』というものです」

「今度、質問してみたらいいですよ。『そもそも戦略って何ですか?』と。」


物事は、『簡単なことは簡単に、複雑なことは複雑に』捉えるべきです。
ここで、「複雑なことは単純に考えるのでは?」と思われるかもしれませんが・・・・


簡単に表現できるのに、さも立派な理論かのごとく複雑にしたり、本来は複雑なことなのに安易な単純化をする(複雑なのに単純に理解しようとする)ことは、本質を見失います。

但し、簡単なことにも、複雑なことにも『核』になるものはあるので、そこは押さえておく必要があります。

一輪の花も、生い茂った大木も、一つの根っこと幹から成り立っています。

“ありのまま”捉えて、『複雑なことは複雑に捉えつつ、根本を押さえること』です。

有名な経営者の方が言っている、『難しいことを単純化する』というのは、根っこや本質を押さえなさいと言っているものです。


戦略も、目標を達成するために『どのような価値を根幹にして』、『どのような方法で』というのを考える必要があります。

当然ですが、何か一つをやれば目標が達成できるという単純なものには成りませんが根幹はあります。


戦略というのは、初めは机上のものです。

いろんな目標達成の為の戦略があるので、フレームワークに落とし込んで比較的簡単に作成することもできますが、その戦略が活用できないケースが多々あります。


戦で相手の城を落とすために『どうやって』という戦略を立てます。

戦略そのものは確実に敵の城を落とせるものだったとしても失敗するケースもあります。

“生きた戦略”として命を吹き込むには、各隊の隊長が全体の戦略シナリオを理解して、自分の隊の役割を全うする意識が必要です。(戦であれば、死にもの狂いで役割を果たす意識です)


人は命令でロボットのように動くわけではありません。

自らの役割や行動が何を目指しているのかと、どのような価値があるのか(もしくは、何を守るために)分からなければ本気にはなれません。

さらに、勝てる可能性を感じていなければ、やはり本気になれません。


クライアント様と共有するのは、戦略が出来上がった時点で、その戦略に『可能性を感じるか?』です。

共に戦略を立てたとしても、一緒に作成した幹部の方々が業績向上につながる可能性を感じていなければ、部下に伝えても可能性は感じないものになります。

これだと、机上の戦略で終わります。


可能性を感じる戦略になった場合は、実行段階で働く人たちに小さな成果のフィードバックを行ないます。

これは小さな成功体験を本人が認識するためです。

自分の役割と仕事が、お客様に価値を生み出しているという小さいけど大切な成功体験です。


戦略はあるけど活かせない会社は、生きた戦略にする方法が不足しています。

どんなに良い戦略も、本気でやらなければ成果は生まれません。

そして部下に本気を見せるとはどういうことか?

率先垂範して一緒にやって見せることです。その時の取組む姿勢や意識(気持ち)が、部下の実行レベルになります。

生きた戦略として活用できる企業は、働く人が小さな成功体験で勝ぐせを身につけていくので、更に仕事に対する姿勢と意識が高まります。

もりろん“やってみせて”成果が生まれるレベルを教える必要があります。


机上の戦略で終わる企業は、良い戦略もダメな戦略へと変わるので、人は負けぐせと手詰まり感が高まっていき、仕事に対する姿勢も意識も低下していきます。

どちらの組織が、未来を創造する可能性が高いか?一目瞭然です。


成熟後期や衰退期になると、業績向上の成果が生み出しにくくなります。

そうすると人材育成とか人の問題を考えがちですがそうではありません。

そもそも、人を活かす仕組みがあるかの問題です。

どんなに良い戦略も、人を活かし、戦略を活かす仕組みが必要です。


机上の戦略で終わらないように、現状をチェックしてみてはいかがでしょうか。