第71話『コト価値の分析と数字の分析』



現状分析の罠(わな)というのがあります。(本に書いてあるかどうかは知りませんが)

その罠に陥ると、迷路のような洞窟に入ったように迷走し始めます。

このコラムで何度も書いていますが、成長期や成熟初期というのは、すでに価値をお客様が認識しているのでアクションを起こせば、すぐに売上という数字に表れます。

その市場時期に重要視する分析というのは、より利益率の高い商品や購入頻度の高いお客様などの傾向分析です。


パレートの法則(2割のお客様が8割の売上を担っていたり、2割「の商品が8割の売上になってるなど)というのは、数字を検証すればピッタリにはならなくてもそのような傾向になりますが、パレートの法則にも罠があります。

2割の利益効率が良い商品やサービスに資源を集中して、2割の顧客を相手にした体制になっていくことで、新たな2割になっていく(未来を担う商品やサービス・お客様)可能性のあるお客様を知らないうちに排除しているというものです。

ロングテールの部分に未来を担うものが隠されていたかもしれないのに。


成長期や成熟期はお客様の絶対数が多い状態なので、それでも成り立つのですが、衰退期はそのようなわけにはいきません。

その時に重要だった指標が、衰退市場では足を引っ張るものになったりします。

分かり易くいえば、数字の結果だけを見て頭を抱え、新たな施策が思いつかないようであれば、分析の意味がありません。完全に迷路の洞窟に迷い込んでいます。


クライアント様とのセッションで、第1回目にやるのは現状分析なのですが、ここで毎回、分析しようにもデータが無い状態になります。

もちろん数字の状態も確認しますが、重要視しているのは『どんな価値をお客様は感じているか』という視点です。

ここで、そもそも提供している価値が働いている人たちも理解していないケースが多いです。


・・・・商売の原理原則というのは、商品やサービスを通じてお客様が感じる・手に入れる価値を提供することなのに、提供している価値を売り手が分かっていなければ業績を上げることはできません。

分からないケースがほとんどなので、分析というよりも『たぶん、お客様はこう感じている』というものになります。


商品を並べました!ハイ買ってください!

価値を認識していればそれで十分ですが、衰退期というのは新たな価値を創造する段階でもあります。

新たな価値なので、お客様はまだ認識していない。

マーケティングの重要な要素である、新たな顧客の創造をするための取組みが必要です。

そこで、分析しなければいけない視点が『コト価値』です。

数値目標しかなければ、価値が生み出されているのかという成果が分かりません。


言葉というのは難しくて、人それぞれの解釈が存在します。

『顧客体験価値』創造戦略でサポートする際に、数値目標と成果目標を分けて考えます。

さらに成果目標は『顧客体験価値目標』と『自社の成果』に分解します。


成果目標は、活動やアクションの数だけ目標設定が為されます。

価値の積み重ねが差別化になり、お客様にとっての価値が売上になります。

売上や業績向上を目指すのであれば、分析の主体に置くものは『コト価値』というお客様が体験したり感じている価値ということになります。


1か月ごとの数値結果を見て、売上も顧客数もグングン上がっていれば働く人もやりがいを維持できますが、多くの業界や市場がそんな状態ではありません。

自らの行動が、その瞬間に成果として生まれているかを確認できる仕組みにするのが企業幹部や管理職、更に社長の役割です。

なかなか数字に繋がらないけど、お客様が価値を認めてくれている成果があるから、目の前のお客様が喜んでくれるからこそのやりがいです。


働く人が元気がないのは、ゆとり世代とかの問題ではありません。

働く人の元気がないのは、元気がなくなる仕組みになっているということで、企業はそこを省みるべきです。

全てを若い人のせいにしたら、そこから考えることをやめてしまう『思考停止』に陥ります。

働く人が、仕事が大変であったとしても目が輝いている会社は、そのような仕組みがあるからです。

(ちなみに、やたら元気にテンションを上げる方法ではなく、人間のメカニズムを理解した方法です)

精神的に疲れた組織と、精神的に充実している組織で勝ち残るのはどちらか。

言わずもがなです。