第70話『新しい価値が生まれる瞬間』



クライアント様
「現状では高い価格のものと、低い価格のもののどちらかに人気は偏っています。高額の物はお客様の負担が大きいので顧客数が増えず、低い価格のものは利益が非常に薄いので主力ではなく入口商品として活用したいので、中間の価格の物をメインにする方法を考えたいのですが・・・・・」

(今回の内容は、パチンコ店のクライアント様とのやりとりですが、具体的な内容を書けないので、表現を変えて掲載しております。)


企業としても、ロングセラーになりうる手頃な価格の商品というのは非常に助かります。

高額商品でロングセラーが生み出せれば良いのですが、同じ商品の中で高額から低額まであれば、それぞれのお客様が感じる価値によって購入するので、中途半端な価格の物はどちらかというと低額商品に浸食されていきます。

同業他社も、薄利になっても商品を売りたいので、価格競争が始まると中間価格の少し品質が良い物を低額商品化していってしまいます。


机上の空論では、松竹梅などの価格設定にしていれば中間の『竹』がボリュームゾーンになりえるのですが、現実の商売では競合他社との戦いがあるので、『竹』が売れ続けるということは少なく、『竹』が梅の価格になっていきます。



「中間の商品価値を、高額商品とも低額商品とも明確に違いを伝えることを考える必要がありますね。」

クライアント様
「良い素材を使っているので原価も高いし、低額商品よりも手間もかかるし・・・・・・」


「ちょっと待ってください。良い材料を使っているというのは、業界や自社の視点であって、そこにお客様が良いモノという認識が生まれれば“価値”に変わりますが、それは同業他社も分かっている事なので、一時的に材料の良さで売れたとしても、すぐに価格競争に陥ってしまいます。」


「高額なものより買いやすいというのは、価格の価値をお客様に感じさせている時点で、お客様は価格主体の価値しか認識していません。低価格のモノとの違いから考えてみてはいかがでしょうか?」


「価値を感じないから、お客様は低価格が無難になっているわけで、中間の価格の必要性を感じていない。低価格には無い中間の価格の価値という視点で、さらにそれを買うことで感じられるお客様の価値という視点です。」


ここからいろんな意見が出て、その意見に便乗したり、お客様の利用する場面の話が出てきました。

普段は低価格のもので十分だが、〇〇〇の時は中間の価格の物が必要であり、その場面では中間の価格の物がメインになりますね。

その場面をお客様がイメージできれば、低価格の商品では得られない価値を感じてもらえますね。

その場面でお客様が体験する価値をメインにお知らせして告知していきましょう!


さまざまな意見が出たからこそ、“パシッ!”とその場にいた人達の目が輝き、長いトンネルを抜けたスッキリした気持ちが生まれる。


会議に参加していて感じたことは、この話し合いの中で『評論家』になる人がいなかったことです。

頭の中でみんなが同じように考えていたことは、お客様がその商品を使用するときの価値というもので、誰かのアイデアに対して批判する人がいませんでした。

お客様が商品を使用するときに何を考えているのか?何を感じているのか?という、お客様が価値ある体験をするために自分たちの商品はどのようなお役立ちが出来るのか?


差別化というと、他社との違いを考えることも間違いではありませんが、あくまでも本質はお客様が感じる価値が他社と違うという点です。

ただ単に、他社と違うだけでは異質化で、お客様は価値を感じない場合が多々あります。

顧客体験価値の思考ステップでは、お客様にどのような価値を提供するか?というものが出発点になります。

そして、その価値を提供するために、どのような方法をとるか。


新しい価値が生まれるというのは、最終的にはお客様が価値を感じてくれて購入に結びつくというところがゴールになりますが、自分たちも見えていなかった価値が明確になる瞬間があるからこそ、それを実現する行動が具体的になるというものです。


上手く行きそうな会議と、たぶん何も生まれないだろうという会議の違いは、何を目指して話をしているかという共有している目標と、どの視点から考えていくか。それから、いちいち否定して自分は何でも知っているという知識をひけらかす評論家が顔をひそめること。


小さな成果の積み重ねで、業界や本に書かれている常識を覆してきているので、今回の取組みも非常に楽しみです。