第57話『弱者は売り切る力が必須』



競争戦略には、強者と弱者という力関係があります。

強者というのは、すでに大きなシェア(お客様)を獲得していて、認知度や知名度も高い状態です。

ランチェスター戦略では、弱者は1位の強者以外という見方です。

市場が飽和状態になり衰退してくると・・・・・・競争に疲れてしまう心理を利用して、競争からの脱却のような書籍が出てきていたのですが、衰退期というのは更に競争が激化します。

現実を見ないで、絵空事を考えているようでは熾烈な市場競争には勝てません。


競争というのを誤解している方も多いのですが、ビジネスの環境というのは『お客様・自社・他社』との関係性で、よりお客様に好ましい価値を提供するという“優勝劣敗”の原理原則です。

競争から脱却するというのは、新たな価値を生み出すことにほかなりません。

そこに、お客様にとってあなたの会社でなければならない理由があるときに、他社よりも優れているという選択肢が生まれます。


1位以外は全て弱者として自社を捉えないと、目標を達成していく戦略を間違ってしまいます。


先日、リピート率9割という凄い数字のビジネスをされているサービス業の方から相談を受けました。

「一度利用して頂ければ、9割くらいの方がリピートしてくれるのですが売上が伸びない」


立ち話でのご相談だったので、具体的な数字は伺わなかったのですが、すぐにピンと来ました。

「高いリピート率なので、提供している内容は問題なさそうですね。その内容に基づいて新規獲得の取組みはなさっていますか?」

このようにお話ししたところ、今までは“口コミ”オンリーだということです。

新規獲得を自らやることをしていなかったようです。


口コミで新規が増えるというのも、提供している価値のレベルは相当高いものなので勿体ないです。


私がここでお伝えしたことは、

「口コミというのは素晴らしいレベルです。しかし、口コミというのは自社でコントロールすることはできません。新規顧客獲得を口コミだけに依存すれば、口コミでお客様が増えなければどんなに高いリピート率でも思うようにお客様を獲得できません。ぜひ、素晴らしい価値を提供しているのであれば、自らの力で新規顧客を獲得する取組を始めてください。」

ここまでで、やっていないことが沢山あると気付いたようでした。


待ちの営業が出来るのは強者のみです。

特に、小さな企業であれば自社がコントロールできないものに依存しているとビジネス基盤が脆弱なものになります。

部品製造や製品のメーカーも同様です。

販売店数が多くても、販売店に売ってもらうことを依存していたら、あっという間に価格競争に巻き込まれます。

販売店は、売れて利益が出るものが良い商品です。数ある取扱商品の中で、あえてあなたの会社の商品を一生懸命売ることは滅多にありません。

販売店で売って頂くとしても、自社の商品をどのように売るかを自社で考えて販売店をサポートするという取り組みが必要になります。

認知度も知名度も無い、小さな企業であればなおさらです。


先ずは、提供している商品やサービスの価値を高めることを、顧客体験価値も含めて実施する。

その事実を基に、新規顧客を自ら開拓して売り切る力をつける。

お客様が喜んでくれる仕事に、やりがいを感じる仕組みを作ることが出来れば、厳しい競争環境で疲れている会社の社員よりも良いものを生み出せます。

衰退期は、企業の取組みによって更に差が開いていきます。