第290回『売るのはモノでなく価値』



<今日のポイント>

 売るのはモノでなく価値。

 お客様が求めているのは、モノを通じた価値。

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 商品やサービスの性能や品質が高くても、そもそもお客様が価値を感じなければ購入や利用にはつながりません。

 今回のコラムでは、分かっているつもりになりがちな顧客価値の視点について書いております。

 ぜひお時間を作ってお読み頂ければ幸いです。

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 最近は料理のレシピサイトが充実しているので、余った食材で何かを作るときや、自分で作りたいときにとても便利です。

 レシピサイトが提供しているのはいろんな料理のレシピや作り方ですが、それを見る人たちはシチュエーションによって求める体験価値は異なります。

 毎日の食事、人が集まってのパーティー、お客様へのおもてなし、子供のお弁当・・・・

 レシピサイトを利用する目的は、何かしらの価値があるからです。

 私自身も料理をするのでとても助かっています。


 自動車メーカーは車を売ってお客様からお金を頂きますが、お客様が手に入れたいことは車を通じた自分にとっての体験価値です。

 車が無ければ通勤できない地域であれば、快適に通勤するという体験価値を買っていることになります。

 通勤であれば、燃費が良くて小回りがきいて税金も安いという体験価値が欲しければ、軽自動車という選択肢があります。

 家族が6人(祖父・祖母・父・母・子供2人)の場合は、みんなで移動が可能なミニバンが求める体験価値を満たしてくれます。

 自動車メーカーのCMを見ていると、さまざまな体験価値の視点で、その体験価値に合う車の提案をしています。


 ロングヒット商品の『アキレスの瞬足』という靴があります。

 発売から14年経っていますが、私の子供たちもお世話になった(末娘は今も履いています)商品です。

 この商品の特徴は、靴の裏面が『左右非対称性ソール』というもので、左回りのトラックや運動場で走る時にグリップが効くように作られています。

 商品コンセプトは【速い子はより速く、苦手な子には夢を!】という、運動会の徒競走での体験価値を売っているコンセプトになります。

 子供の靴というのはすぐに履きつぶしてしまうので安い方がいいのですが、子供なりに体験価値を感じているので「瞬足が欲しい!」と言われます。

 ちなみに、子供の中で認知が無い昔からのブランド靴を欲しがられたことはありません。(小学生までは)



 商品やサービスというのは、お客様にとっては何かしらの価値を手に入れるために購入や利用をするという当たり前のことで、私達が消費者として行動するときも体験価値視点でモノを買っています。

 当たり前のことですが、売り手側にたった瞬間に、顧客視点で物事を考えなくなってしまいます。

 どんなに素晴らしい品質や機能、技術があったとしても、その商品やサービスを通じてお客様がどんな体験と価値を手に入れられるのかが分からなければ利用しようとは思いません。

 お客様がお金を支払う対象は商品やサービスですが、買っているものは商品やサービスを通じた体験と価値になります。

 自社の商品やサービスが、競合他社に比べて好ましい体験価値をお客様に提供するからこそ選ばれます。


 私のクライアント様はパチンコ店やサービス業の方がメインですが、研修やコンサルティングに入る前に、「お客様はいろんなパチンコ台やスロット台がある中で、この機種に対してはどんな価値を感じているのか?」という質問をしても、お客様が『この台で遊んでみたい!』となる、体験価値提案の答えが返ってこないことが多いです。

 飲食店でも、「お客様はこのお店にどんなコトを求めているのか?」という質問に対して、現場のスタッフの方が答えられないことがあります。

 この場合、自社の商売で何を売っているのか分からずに仕事をしていることになってしまいます。

 どんな価値を提供するのか分からずに仕事をしていれば、価値を提供する仕事にならないのは当然です。


 顧客視点というのは、『言葉は知っていても、分かったつもりになりやすい』もので、実際に分かっているかどうかを確認するには、お客様にどんな体験と価値を届けているのか?を言葉で表現できるかです。


 私はクライアント様に『コンセプト』というお客様が手に入れる体験と価値を必ず作ることをお伝えしています。

 大きなコンセプト、そして大きなコンセプトを目指した小さなコンセプト。

 お客様が手に入れる価値によって、どんな気持ちや喜びを実現するのか。

 ゴール逆算思考になりますが、提供する体験と価値、その体験価値によって得られる気持ちというコンセプトがあるからこそ、現場での仕事が価値提供できるものになっていきます。


 接客が悪いスタッフを指導する前に、どんな接客でお客様にどんな体験価値を届けて欲しいのかという指導が出来ているか?

 『売るのはモノでなく価値』という視点があれば、接客の方法も変わっていきます。

 この顧客視点というものを理解して自分の思考習慣にしていけると、社内でも日常でも自分の行動で好ましい体験価値を周囲に届ける人材になっていけます。

 お客様に選ばれる価値視点の行動を想像する力も身に付くので、商品やサービスを売る力を高めるものにもなります。

 当たり前のことが当たり前になっているか?

 皆様の会社で提供している価値は何でしょうか。