第129話『コト視点の価値でおもてなし』


 昔の宿場町は、電車網の交通機関が発達したことにより衰退していきましたが、今も昔の名残を残した場所もあります。

 宿場町といえば、旅人が泊まる宿であり、旅の疲れを癒す場所です。

 当然のことながら、宿場町の中でも宿屋の競争はありました。

 評判が良ければ繁盛して、評判が悪ければ繁盛しないという当たり前のことです。

 ただ単に、『泊まる』というサービス提供にするのか、『長旅の疲れを癒してもらい、これからの道中を安全に旅してもらう』ということを考えてサービスを提供するかでは、お客様に届く価値は違うものになります。

 『泊まる』というお客様の行為に対して、『泊める』というサービスは基本価値ですが、評判の良い宿を目指すのであればお客様のシチュエーションを考慮した価値提供が必要になります。

 お客様が体験するコト視点の価値というものです。


 お客様に、どうなって頂きたいか?という目的は、どんな価値を提供すれば実現されるのか?という価値目標が必要で、お客様視点で考えたとき、『おもてなし』として必要な行動が見えてきます。


「お客様の笑顔という目的は理念にも掲げているものでしたが、『どんな価値でそれを実現するのですか?』という質問をされたとき、初めは意味が分かりませんでした。」

「自社の商品やサービスを通じて、お客様に笑顔になって頂くということは素晴らしい目的であり理念だと思いましたが、その笑顔は具体的にどんな価値で実現していくのかを、提供する企業側が分かっていなければ、何を売るのか分からないのと同じことですから。」

「笑顔や嬉しさが価値だと思っていました・・・・」

「価値が届いていれば、価値ある笑顔になるのですが、お客様の笑顔に行きつく価値はいろいろあります。」

「価値の言語化をしてみて、分かっているようで分かっていないことに気付きました。届ける価値を明確にすることで、笑顔の出し方や新たな商品やサービスの開発にもつながるものだと実感しました。」


 宿屋の目指すコンセプトが、『長旅の疲れを癒してもらい、これからの道中を安全に旅してもらう』ことや、更に『自分たちの町(村)の良さを感じてもらう』というコンセプトによって、それを実現させるための価値が明らかになれば、どんなサービスをする必要があるかという価値の的を目指したサービス開発が可能になります。

 それを昔の人は、『おもてなし』としての行動やサービスにしていたからこそ、“もてなされた”という気持ちがお客様の心に届いたというものです。


 笑顔で接客しましょう!

 おもてなしの心でお客様をお迎えしましょう!

 とても大事なことですが、そこに組織で目指す価値が明確になっていなければ、個々の解釈による統一された目標ではない思いで、行動はバラバラになり掛け声だけで終わってしまいます。


 お客様はどんな体験によって、どんな価値を感じるか?

 コト(体験・出来事)視点の価値を言語化することで、『おもてなし』の具現化が可能になります。

 事務所に入ってきた宅配便の人に、どんな体験価値を提供しますか?

 ぞんざいに扱えば、「あの会社は・・・・・」という悪い評判が流れる可能性もあります。

 地元の飲食店にスタッフが食事に行ったとき、そのお店の人にどんな価値を提供しますか?

 まさか、「お金を払っているんだから自分たちは客だ!」なんて考えていたら、地元での評判はガタ落ちするかもしれません。

 『おもてなし』というのは、どんなシチュエーションでも自分たちの魅力として価値提供していけるものです。




『顧客体験価値』創造戦略が、読むうちに自然と身につくコト生みコラムをメールにて配信しております。(毎週火曜日更新)

 メールアドレスをご登録頂きますと、毎週火曜日の更新時にお知らせメールが届きます。
※ 不定期では御座いますが、ビジネスのヒントになる当社のご案内もお届けしております。
(携帯のアドレスでは届かない場合があるようですのでご容赦ください)