第111話『技術が無ければ理想は叶わない』



 「ビジョンも理念もあるし、それを目指す戦略もあります。しかし・・・・戦術に落し込む段階でそれらが目標達成に繋がっているかは疑問が生じて、良い内容だとしてもどのような成果が生まれているか目に見えないものもあるので、活動が失われたりします。」

 「成果測定が量で測定できるものしかないと、好ましい変化や成果に気付かないし、現場ではお客様の反応を見ているので良い内容だと感じていても、お客様の心の変化を生み出すことは成果の生まれ方もゆっくりなものが多く、大きな数字の測定にはすぐに表れないものも多々あります。」

 「良い内容でも、数字に反映されるまではどんな成果が生まれるか検証できていないので、働く人たちも疑問を持ちながらになっています。疑問の中でやることなので、表面的というか形だけになっている気もします。」

 「数字というのは結果や成果測定として重要なことですが、その数字はどのような“的”という価値提供で達成していくのかが、仕事の目的になっていきます。多くの場合、どんな価値を提供してという“的”が無い状態で行動を決めています。」


 お客様にどのようになって頂きたいかとう企業理念があったとしても、それはどのような価値で果たしていくのかに落し込まれなければ実現していきません。


 古典には、一流の弓の名人が人を教えるときは、弓の引き方から教える。一流の棟梁は、ぶんまわし(コンパス)やさしがねの使い方から教える。

 このような話があります。

 家を建てるには、その技術が無ければならないし、弓で的を射るにも射る技術が無ければ実現しません。

 ビジョンや理念を実現していく為の戦略があったとしても、それを実現するために戦術という形にしていく方法が無ければ実現していかないのは当然のこと。


 少し“やり方”を軽んじる傾向が世の中にあるのですが、これはインスタント時代に生まれた私たちが大いに反省するべき点でもあります。

 なんでも簡単に手に入ってしまう便利な時代を私はインスタント時代と表現しています。

 お風呂を沸かすのも、ご飯を炊くのも、水を飲むのも・・・・・・なんでも簡単で便利な世の中に、先人が知恵を絞って実現してきてくれました。

 これはとても良いコトですが、その結果・・・・何かを得るには忍耐や苦労がともなうということを少し忘れているような気がします。


 企業においては様々な技術が必要になります。

 製品をカタチにする技術もあれば、組織に理念を浸透する技術もあります。

 お客様に楽しさや嬉しさという人生の喜びを提供するのも、どのような価値をもってそれを実現していくのかという技術が必要です。


 お客様が喜ぶためには、喜ぶための“的”という価値の提供が必要であり、この価値提供によってお役立ちという企業の役割を果たしていきます。

 その価値という的が明確になるから、働く人もどこに向かえばいいか分かるので、戦術を現場の戦闘として実践していけます。


 さらに、数字の結果というのは的によって生み出されるものなので、的(価値)の提供から生み出される小さな成果の測定も可能になります。

 お客様が笑顔で自分と話してくれているということも成果測定すれば、数字を高めていくプロセスの中の重要な役割を担っています。

 お客様にお役立ちし続けるために、その理想を実現していくものは考え方も含めた技術力であり、モノづくりもコトづくりもどちらのも技術力は必要です。

 モノづくりは目に見える技術ですが、コト視点による価値創りは目に見えない思考の技術になります。


 何か課題が生まれた時は、形にしていく技術が不足している場合があるかもしれません。

 何とか機能していたとしても、それは働く人のセンスや努力で補っているかもしれません。

 センスや努力で補えているものは、価値提供にムラが生まれてしまいます。人によって生み出す成果も変わってしまいます。

 家の作り方を知らない私が家を自分で建てれば、形は真似できるかもしれませんが安心して住める家にはならないはずです。


 お客様にお役立ちして、お客様に喜んで頂くという根本的なものをカタチにする技術があるか?


 更に、知っているは、分かっているとは違います。

    分かっているは、やっているとも違います。

    やっているは、出来ているとも違います。


 どのような技術で理想をカタチにしていくのかという“やり方”は、慣れれば簡単なことになりますが、それまではインスタントにやれるものではありません。

 だからこそ、思いをカタチにする技術力というのは他社との違いや、より良い価値をお客様に届けるものになるものだと。


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