第110話『レア企業という存在になる』



 「これから私たちの業界はどのようになっていくのでしょうか?」

 「私は予想屋では無いので、『どうなっていくか?』という点については正直言って分かりませんが、私たちの業界だけでなく多くの業界が生き残りをかけて挑戦していく必要があると思います。」

 「それは、更に厳しくなることが続くということでしょうか?」

 「はい。非常に単純なことなのですが、人口動態を見ればGDPの58%を占める個人消費が伸びない構造になっています。少子高齢化と人口減というのは個人消費額がどんどん減っていくということに他なりません。個人消費が減るという事は、どのような業界も縮小していく傾向であることが予測されます。」

 「どうしていく必要がありますか?」

 「どうしていくか?という“やること”というのは、何を届けるかという目的があって初めて考えていけます。どんなお役立ちをしていくか?どんな価値を提供していくか?ということから、もう一度見直してみましょう。」


 消費者の絶対数が多いときは、お店を出せば儲かるという需要と供給のバランスで商売が成り立ったときもあります。

 消費者の絶対数と競合の数のバランスが逆転すると飽和状態となり熾烈な競争が始まります。

 この競争がお客様にとって好ましい『切磋琢磨』であればいいのですが、お客様を見失った企業間競争になると、消費者を忘れた業界は衰退の一途をたどります。


 古典には栄枯盛衰の理も書かれています。

 初めは国を善くしよう一致団結して進んでいくが、徐々に繁栄してくると当初の志を忘れてもっと豊かにもっと儲けたいということが目的化していきます。もっと豊かにするために民衆を働かせ、儲けるために税金を高めていきます。

 そして、善くしようという志を失った国からは人々が去っていき衰退が始まります。

 力があるときは近隣列国も様子を見ていますが、力を失いつつあると見るや一気に攻めてきます。

 人民の心が離れた自国に協力しようとするものはいません。

 こうして衰退を迎えていく。

 このようなことを繰り返しているというものです。


 世の中は変化し続けるという原則があるなら、自社も変化し続けることが求められます。

 企業活動は、世の中をより良くして、人々をより豊かにしていく役割を担っています。

 お客様を忘れてしまえば、お客様に価値を届けることはできません。


 「振り返ってみれば・・・・私たちの業界がまだ栄えていないときは、とにかくお客様を楽しませるということに業界全体が向かっていた気がしますね。それがいつの間にか、いかに儲けるかという効率と効果を追求することで無駄を省いていった結果、知らないうちにお客様を忘れた業界になっていったのかもしれません。」

 「そうかもしれません。どんな過去を進んできたかを省みる事で反省する点があれば、これからどんな未来を創る為に挑戦していくべきかも見えてきます。」

 「まずは目の前のお客様にとって特別な存在だと感じてもらえることを、価値を明確にして取組んでいく活動をこれからしていくのですね。」

 「お客様一人一人にとってレアな存在となるには、全員が一致団結して取組む必要があります。価値を届ける場所は、常に現場にあるのですから。」


 口で特別な存在になっていくということは簡単に言えますが、大きな志を実現するには具体的な方法に落し込まれる必要があります。

 昔の弓の名人が弓を教えるときは、『弓の引き方』から教えた。

 大工の親方は、ぶんまわし(コンパス)や差し金の使い方から教えた。

 古典にはこのようなことが書かれています。


 志を目指す時には、それを実現する方法が必要で、立派な家の設計図やイメージがあったとしても、それをカタチにする方法が分からなければ実現していきません。

 弓で的を狙うための理論を知っていても、その弓で矢を放つことが出来なければ的に当てることはできません。


 レア企業という存在になるのも同様で、それを実現する具体的な方法をがあるかを省みる必要があります。


『顧客体験価値』創造戦略が、読むうちに自然と身につくコト生みコラムをメールにて配信しております。(毎週火曜日更新)

 メールアドレスをご登録頂きますと、毎週火曜日の更新時にお知らせメールが届きます。
※ 不定期では御座いますが、ビジネスのヒントになる当社のご案内もお届けしております。
(携帯のアドレスでは届かない場合があるようですのでご容赦ください)