【 事例 5 】 オーダーメイドスーツ



福岡県にあるテイラーでは、スーツという商品を通じて、徹底的にお客様にとって価値ある体験を創り出すことを大切にし、東京や遠方からリピートするお客様も多数います。

私も懇意にさせて頂いているお店です。

お店の場所も繁華街ではありません。場所を教えてもらわなければ、自然と見つける確率は高くないところです。


どのような想いや考え方で商売をされているのか興味がありました。

「今度、東京で出張販売するけん遊びに来て~」

そんな気さくな連絡があり、これはチャンス!と言わんばかりに話を聞きに行きました。



「なんか社長には惹きつけられるんですよね~。どんな気持ちで商売をされているんですか?」

社長
「東京から地元に戻って来て、初めは3~4万円の普通のスーツとあまり変わらない値段のオーダースーツもやってたけど・・・売れなかったんだよね。で、結局は今の値段のスーツ(生地)が主流になっているけど、価格よりもお客様に合うか合わないかをハッキリ言ってきたんだよね。」


「私も作ってもらったので、何となく分かりますが、例えばどんなことをハッキリと言うんですか?」

社長
「例えば、ほとんどの人が大きめでサイズが合っていないスーツを着てるからカッコ悪いんだよね。それから、スーツの色やネクタイの色も合わないものをしていたり(笑)。おかしいものは『おかしい』って言わないと、売れれば良いというものではお客様にとって良い価値は生み出せないし。」

「先日ね、お客様とお互いケンカ腰になっちゃって・・・・。似合わなかったら代金払わない!って言うから、似合ったら倍の代金もらいますよ!なんて。」

「普段は無難な色しか買わないということだったから、お客様に合うレンガ色のジャケットを提案したんだけど、これが派手すぎると・・・」

「仕上がって、数日したらそのお客様が来店して、「一日に3人から褒められた!」って。その後は、スーツはお前からしか買わないとまで言って頂いたり」


「あっ!それ分かります。私もそうだったんで」
「私の場合は、作ってもらったスーツを着ると気持ちも引き締まるんですよね~」

社長
「そんなことを繰り返して来たら、いつの間にかリピートのお客様も増えて有難いことですよ。売れることは大事だけど、お客様からクレームが無いように無難なものを作っても意味が無いと思うんだよ。」

「スーツって、売った時には価値は無くて、お客様が着た時にどんなコトが起こるかが価値なんだよね。それを提供できなければ、リピートのお客様にはなってくれないし、その価値がいつ体験できるかも私には分からないことですが。何か体験があった時に良かったと感じてくれれば私も嬉しいし。」


このお話を聞いて、社長は口では言わないけど『スーツで人生を彩る、人の自信を取り戻す、人生をより良いものにするという価値を提供している』と感じました。

奇抜なデザインのスーツを感じるかもしれませんが、基本的にはスタンダードです。(もちろん挑戦的なものを作れる一流のプロです)

しっかりとした『顧客体験価値』を自然と提供している商売人だと感じています。
お客様に、商品・サービスを通じて『どのような価値ある体験を提供するか』を地で行く社長です。

そのような方なので、話も面白い(一緒に居て楽しい体験価値)です。
見習うことが沢山ある社長です。



事例で書いたエピソードは、
第63話【コト生みコラム】『価値は体験づくり』でもご紹介しております。